こんにちは。
広報の岡本です。
今年も、厳しい暑さが続いていますね。
外に出たときに感じる暑さは、気温だけによるものではありません。
夏の日差しを受けた外壁や地面にも熱がたまり、そこから伝わってくる熱によって、建物のまわりはさらに暑く感じます。
そこで今回は、東広島市西条町寺家にある大喜の店舗
「BIO BASE」で、外壁と地面に水をかけ、表面温度がどのように変化するのかをサーモグラフィーカメラで測ってみました。

そとん壁と洗い出しスロープを測定
BIO BASEの外壁には、火山灰のシラスを原料とした自然素材の外壁
「そとん壁」を使用しています。
2026年8月2日、次の場所へ水をかけ、表面温度の変化を夕方まで追いかけました。
- 玄関前の洗い出しスロープ
- 北面のそとん壁
- 西面のそとん壁
- 南面のそとん壁



当日の最高気温は37.0℃
実験当日の東広島は、気象庁の観測で日最高気温37.0℃。
降水量は0mmで、日照時間は9.2時間でした。
外壁や地面の温度変化を確認するには、十分に暑い一日でした。

出典:気象庁「過去の気象データ検索 東広島(広島県)2026年8月2日」
水をかけた直後、表面温度は下がりました
最初の測定では、北面・西面・南面のそとん壁と、玄関前の洗い出しスロープへ水をかけ、散水前と直後の表面温度を比較しました。
北面のそとん壁 36.3℃ → 26.3℃ 10.0℃低下
洗い出しスロープ 45.5℃ → 35.6℃ 9.9℃低下
西面のそとん壁 33.4℃ → 28.3℃ 5.1℃低下
南面のそとん壁 35.3℃ → 30.4℃ 4.9℃低下

地面は早く戻り、外壁には低い温度が残りました
興味深かったのは、水をかけた後の温度の戻り方です。
洗い出しスロープは、散水直後に45.5℃から35.6℃まで下がりましたが、約43分後には45.9℃となり、ほぼ散水前の水準まで戻りました。
一方、北面のそとん壁では、水をかけた部分が、同じ壁面の乾いた部分より低い状態が数時間続きました。
ただし、北面の外壁は軒の下で、洗い出しスロープは日差しを真上から受けます。
この違いは、素材だけでなく、日射の当たり方、面の向き、水のかかり方などが重なった結果と考えられます。
午後の西面でも、散水部分と乾いた部分を比較
午後になると、西面のそとん壁には西日が当たり、表面温度が上昇していました。
そこで、西面の一部分に水をかけ、同じ壁面の中に「水をかけた部分」と「かけていない部分」が並ぶ状態をつくりました。
この散水後は、追加で水をかけず、そのまま夕方まで表面温度の変化を追っています。
散水前の西面
散水前の西面は、44℃を超える表面温度になっていました。

散水した部分に、低い温度の帯が現れました
水をかけると、同じ西面の中に、濡れた部分と乾いた部分が縦の帯状に現れました。
同じ壁面を測定すると、水をかけていない部分が47.4℃、水をかけた部分が35.4℃となり、約12℃の差が確認できました。

約29分後にも、温度差が残りました
散水から約29分後にも、水をかけた部分は帯状の低温域として残っていました。
この時点では、水をかけた部分が34.0〜35.7℃、かけていない部分が45.4〜45.5℃で、およそ10℃の差が見られました。

水を追加せず、その後の変化を追いました
午後に西面へ水をかけた後は、追加で散水を行っていません。
時間とともに乾いた部分との温度差は少しずつ小さくなりましたが、約29分後で9.8℃、約55分後で7.8℃、約88分後でも7.6℃の差が残りました。

水をかけた部分の温度は、時間とともに一方向に上昇したわけではなく、夕方にかけてさらに低くなる時間帯もありました。
外気温や日射の低下に加え、そとん壁の表面や表層に残った水分が時間をかけて蒸発したことも影響した可能性があります。
同じ壁の、同じ時刻。それでも温度が違いました
散水後、夕方まで同じ西面を追いかけました。
17時21分に測定すると、水をかけていない部分は36.1℃、水をかけた部分は28.5℃でした。
水をかけていない部分
36.1℃
水をかけた部分
28.5℃
表面温度の差
7.6℃

夕方に向けて、外気温そのものも下がっていました。
そのため、外壁表面温度の低下を、すべて散水だけの効果と考えることはできません。
それでも、同じ時刻・同じ壁面で7.6℃の差が残っていたことは、今回の実験で特に分かりやすい結果でした。
なぜ温度が下がったのでしょうか
水が蒸発するときには、周囲の熱が使われます。
この働きを「気化熱」といいます。
そとん壁は、火山灰のシラスを原料とした多孔質な自然素材です。
素材の表面には細かな孔があり、水分を受け止める性質があります。
今回は、そとん壁の表面や表層に残った水分が、少しずつ蒸発する過程で表面の熱を使い、水をかけた部分の温度が上がりにくくなったと考えられます。
今回測定したのは、外壁や地面の表面温度です。
壁の内部、室温、冷房消費電力への効果を測定したものではありません。
また、表面温度は日射、風、面の向き、水量、撮影位置などの影響を受けます。
サーモ画像は撮影ごとに色の割り当てが変わるため、色ではなく画像内の表示数値を比較しています。
自然素材を使う意味を考える実験になりました
今回の実験は、「外壁に水をかけて暮らしましょう」という提案をするために行ったものではありません。
そとん壁という自然素材が、水分を受け止め、乾いていく過程でどのような変化を見せるのか。
その一端を、実際の建物で目に見える形にしてみたいと考えたのがきっかけです。
自然素材の魅力は、見た目や風合いだけではありません。
雨、湿気、熱といった自然環境とどのように付き合う素材なのかということも、住まいを考えるうえで大切な部分だと感じました。
広島の夏は、これからさらに厳しくなると予測されています
広島の年平均気温は、長期的に上昇しています。
将来は猛暑日や熱帯夜だけでなく、短時間に降る激しい雨も増えると予測されています。
暑さと雨の両方を受け止める外壁には、これまで以上にさまざまな役割が求められていくのかもしれません。

まとめ
今回の測定では、次のような変化を確認できました。
- 散水直後、外壁の表面温度が約5〜10℃下がった
- 午後の西面では、散水部分と乾いた部分に約12℃の差が確認できた
- 散水後は水を追加しなくても、約29分後に9.8℃、約55分後に7.8℃の差が残った
- 夕方の17時21分にも、同じ壁面で7.6℃の差が確認できた
- 洗い出しスロープとそとん壁では、温度の戻り方に違いが見られた
- そとん壁の表面や表層に残った水分が、蒸発する過程で表面の熱を使ったと考えられる
今回は研究機関による性能試験ではなく、実際に使われている建物で行った確認実験です。
条件によって結果は変わり、室温や光熱費への効果まで確認したものではありません。
それでも、自然素材の外壁が水分を受け止め、乾いていく過程をサーモカメラで追うことで、見た目だけでは分からない素材の働きを垣間見ることができました。
広島の暑さや雨、湿気の中で長く心地よく暮らしていくために、素材が持つ働きを住まい全体に生かす。
今回の実験は、大喜が自然素材を選ぶ意味を改めて考える機会になりました。
測定場所:株式会社大喜 東広島店舗「BIO BASE」
所在地:広島県東広島市西条町寺家5020-10
測定日:2026年8月2日
使用機器:FLIR サーモグラフィーカメラ
気象データ出典:気象庁「過去の気象データ検索 東広島(広島県)2026年8月2日」






















